研究手法
- HuPEX®網羅型タンパク質アレイによる自己抗体プロファイリング
- 遺伝子12,946クローンから合成した抗原タンパク質が搭載されたHuPEX®網羅型タンパク質アレイを用いて、全身性強皮症(SSc)患者検体(N=32)、尋常性乾癬(PsO)患者検体(N=8)、皮膚動脈炎(CA)患者検体(N=16)、悪性黒色腫(N=40)、健常者(N=20)のプール血清から自己抗体を測定しました。
- 自己抗体の絞り込みと相関解析
- SSc、PsO、CAにおいてプロテオーム全体にわたる自己抗体プロファイリングを実施した結果、合計565種類の自己抗体を検出しました。診断や疾患活動性マーカーとして報告のある自己抗体と、細胞膜や細胞外に発現するタンパク質に対する自己抗体、合計178種類に絞り込み、臨床所見と詳細な解析を行いました。
- 各疾患の臨床的特徴と自己抗体レベルの関連
- 炎症マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)と正の相関を持つ自己抗体の総和(SAL-P-CRP)を求めて、各疾患との臨床的特徴を解析しました。SSc患者において、SAL-P-CRPは、間質性肺疾患(ILD)の指標や皮膚硬化スコア(mRSS)と有意に相関し、ILD予測において既存マーカーよりも優れていることが示されました。PsO患者では、SAL-P-CRPは乾癬性関節炎(PsA)を有する患者で有意に高く、皮膚症状(PASIスコア)とも関連しました。CA患者では、SAL-P-CRPは治療非反応性の患者で有意に高値を示しました。
- 悪性黒色腫における自己抗体の網羅的な測定の臨床的意義
- MM患者血清から488種類の自己抗体を検出しました。転移のある進行型MM患者(StageⅢ, Ⅳ)では、転移のないMM患者(StageⅠ, Ⅱ)よりも自己抗体の産生が顕著であることが判明しました。以上の結果は、MM患者における網羅的な自己抗体同定によって、転移や進行が予測できる可能性を示しています。
成果
- 間質性肺疾患を予測する自己抗体としては、抗トポイソメラーゼI抗体がこれまで最も有用 (70%以上で、間質性肺疾患を予測)でした。
- CRPと有意な正の相関を示した自己抗体の力価の総和 (SAL-P-CRP) は、抗トポイソメラーゼI抗体より有用な強皮症の重症度を反映する新たなバイオマーカーとなる可能性が示されました。
- プロテオーム全体にわたる自己抗体の網羅的なスクリーニングにより、疾患特異的な免疫学的特徴を明らかにし、新しい診断ツールの開発への道を開く可能性があります。
論文情報
Kazuki M Matsuda, et al. Autoantibody Landscape Revealed by Wet Protein Array: Sum of Autoantibody Levels Reflects Disease Status
Front Immunol. 2022 May 4:13:893086. doi: 10.3389/fimmu.2022.893086.