株式会社伏見製薬所

HuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービス

HuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービスとは?

弊社のHuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービスは、
約1.35万種類のヒトタンパク質に対する抗体の反応性を一度に解析できます。

本サービスで使用しているタンパク質アレイは、開発元のプロテオブリッジ株式会社の出身母体である国立研究開発法人産業技術総合研究所で開発され、同社が独占的ライセンスを受けています。

このタンパク質アレイは、産総研時代から多数の共同研究で活用され、ヒト血液中の自己抗体に対する網羅的な解析や人工抗体の反応性の評価、新しいバイオマーカーの探索、抗原同定など、数多くの研究成果を挙げてきました。

プロテオブリッジ株式会社は本技術を更に発展させ、2023年9月より受託解析サービスとして開始し、2025年12月からは当社でも受託を開始しました。

タンパク質アレイの特徴 ~他のタンパク質アレイとの違い~

製造から解析まで非乾燥状態を維持 (Wet Protein Array技術=WPA)

プロテオブリッジ社は独自開発技術により、タンパク質アレイの製造から検体アッセイまでの一連の作業を、常時非乾燥で実施する事に成功しております。これにより、抗原タンパク質の高次構造が、乾燥によって変性されてしまうリスクを極限まで低下させました。
その結果、より生体内に近い状態でのアッセイ(抗原抗体反応)を実現。本サービスはWPAアレイを使用することで、高い生体内の免疫反応を再現しております。

左)生体内 右)非乾燥アレイ(Wet Protein A rray技術=WPA)

搭載抗原量の均一化による、見逃しのないスクリーニング

抗原となるヒトタンパク質の合成は、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系によって行われます。
無細胞合成系は、宿主細胞への毒性などによる発現量への影響を考慮する必要がなく、高い合成量を実現できる方法です。プロテオブリッジ社独自の方法によって合成されたタンパク質は、全タンパク質の84%が10倍以内の量比に収まっています。
生細胞を用いたタンパク質発現系では、最も発現量の少ないタンパク質と多いタンパク質の間では、タンパク質存在量に100万倍の違いがあると言われていますので、極めて高い均一性といえます。
これにより生細胞を使った検出系では見逃されがちな低発現量のタンパク質に対する自己抗体も、見逃すことなく検出できます。

自己抗体が、疾患マーカー・原因となる代表的な病気

HuPEX®網羅型タンパク質アレイは非乾燥を保持しており、搭載されている1.35万種類の抗原タンパク質の構造を保持しています。そのためタンパク質アレイ基板上で抗原抗体反応を再現しやすく、自己抗体の同定に強みを持っています。
自己抗体が関連する代表的な病気として自己免疫疾患があげられます。
自己抗体は様々な疾患のマーカーや疾患発症の原因となることが知られており、疾患と自己抗体の関係に関する研究は世界中で増加傾向にあります。

自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、本来体外から侵入する異物に対して攻撃する免疫が、異常な自己免疫反応により自分自身を異物と判断し、攻撃してしまうことで発症する疾患の総称です。その多くは病態が解明されておらず、国の難病指定を受けている希少疾患です。これらの疾患では、自己抗体の有無が診断基準の項目となっているものが多くあります。

HuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービスの内容について

サービス内容

項目 内容
サービス名 HuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービス
検査の概要 HuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービスは、ヒトタンパク質に対する、血清・血漿・精製抗体の網羅的な抗体プロファイリングに特化した受託解析サービスです。
用途 バイオマーカー探索、抗原同定、病勢モニタリング、治療前後の比較、医薬品候補抗体の特異性検証など
検出抗原種類数
(遺伝子名ベース)
13,352種類(2025年12月現在)
検体種類・検体量 血清もしくは血漿いずれも300μL ※精製抗体については要相談
検体の提出条件 採血後、血清または血漿分離を行い、凍結した状態でご送付ください。
精製抗体につきましては、お客様とご相談のうえ、最適な内容をご提案いたします。
検査方法 間接蛍光抗体法
報告形式 結果レポート(PDF形式)
各搭載タンパク質に対する定量データ(Excel 形式)
※定量データはIndex値でご報告します。
※アレイ間での比較が可能です。
所要日数 原則、検体受領から2ヶ月
検査費用 別途お見積り https://www.fushimi.co.jp/cgi-bin/HuPEX.cgi
検査依頼方法 ホームページ内の検査案内および検査説明書・検査依頼書をご参照ください。
備考 成人健常者の自己抗体データ(Index値)を無償でご提供いたします。
本サービスは研究目的でのみ提供されるものです。診断目的には使用できません。

ファイルダウンロード

結果報告書

HuPEX®のオプションサービス

解析のイメージ ※写真はイメージです

下記サービスはエクセルデータでお渡しいたします

解析項目 概要
MA plot* 2群間の自己抗体変化倍率と自己抗体反応の関係をグラフ化し、有意差が認められそうな自己抗体候補の選定を行います。
(1群あたりの検体数は問いません。)
Volcano plot* 2群間の比較解析を実施し、有意差P値と抗体反応の比をグラフ化し、有意差が認められる自己抗体を抽出します。
(1群あたり3検体以上必要になります。)
相関解析 2群間にて各自己抗体がどの程度同じ傾向にあるかをグラフ化します。
ヒートマップとクラスタリング 自己抗体反応ごとに分類し、自己抗体反応量を色で表現したグラフを作成します。
正常組織における発現解析** 任意の自己抗原が発現するヒト正常組織、細胞種の推定を行います。
がん細胞における発現解析** 任意の自己抗原が発現する培養がん細胞の推定を実施します。
細胞内における抗原の発現部位の推測** 任意の自己抗原が発現するオルガネラを推測します。
  • * MA plotとVolcano plotはどちらか片方の解析になります。 前者は有意差検定を行っていないため参考データになります。後者の解析は有意差検定を行います。
  • ** こちらの解析は有意差がある自己抗体(候補)または陽性自己抗体に対し実施可能です。
    【補足】比較群間解析では、例えばA・B・C群がある場合、A群対B群、A群対C群の比較で2解析、さらにB群対C群を加えると3解析となります。

測定原理

HuPEX®網羅型タンパク質アレイ受託解析サービスでは、お客様からお預かりした検体(血清、血漿、人工抗体)を、プロテオブリッジ社で製造した網羅型タンパク質アレイに添加し、反応させます。 測定は間接蛍光抗体法(indirect immunofluorescence;IIF)で行われ、個別の抗体に対する定量化データをお返し致します。

測定手順

  1. STEP
    1
    タンパク質アレイに検体を添加し、アレイ上に搭載された抗原(ヒトタンパク質)と反応させます。
  2. STEP
    2
    洗浄後、蛍光標識抗体を添加して二次反応を起こします。
  3. STEP
    3
    得られた【抗原+抗体+蛍光標識抗体 複合体】を、蛍光スキャナで測定します。

オーダー方法について

血液検体(血清あるいは血漿)をご送付いただきますと、検体の調整、「HuPEX®網羅型タンパク質アレイ」を用いたアッセイ、解析および数値化、試験報告書の作成を実施いたします。
梱包例を参考に、検体・検査依頼書・同意書をご用意いただき、当社衛生検査センター宛にお送りください。

検査説明書(PDF)
検体梱包例
検査依頼書・同意書
【検体送付先】
〒763-0042 香川県丸亀市港町307
株式会社伏見製薬所 衛生検査センター
TEL:0877-22-6276
※平日16時までに到着するようご指定下さい(夏季・冬季休業を除く)

HuPEX®網羅型タンパク質アレイ・カスタム型タンパク質アレイの活用例

利用者の活用実績

事例1新たなバイオマーカー抗ZSCAN1抗体の発見
研究手法
HuPEX®網羅型タンパク質アレイ解析
アレイ解析に使用したサンプルは、ROHHAD症候群の小児患者5名(女性4名、男性1名)の血清を混合したミクスチャー血清。
その結果、33種類のタンパク質が自己抗体の候補抗原としてリストアップされました。
カスタムアレイの作製と自己抗体解析
マーカー候補となる33種類の抗原タンパク質を用いて、カスタム型タンパク質アレイを作製しました。アレイ解析に使用したサンプルは、非がんROHHAD症候群患者5名の血清。患者5名の内4名でZSCAN1タンパク質に反応する自己抗体が検出されました。
患者血清IgGおよび抗ZSCAN1抗体(市販)の組織染色
患者血清IgGおよび抗ZSCAN1抗体(市販)を用いたマウス脳下垂体外器官の組織染色を実施しました。 脳弓下器官内にZSCAN1タンパク質が発現しており、患者血清中の自己抗体が同一部位と反応することを確認しました。
ZSCAN1がROHHAD症候群の自己抗体標的であることが判明しました。
抗ZSCAN1抗体を検出するELISA法の開発
ROHHAD症候群で非がんROHHAD症候群患者14名、正常な被験者15名、および自己免疫疾患を持つ被験者5名を対象に、抗ZSCAN1抗体の陽性反応をELISA法を用いて解析しました。
腫瘍の有無にかかわらず、抗ZSCAN1抗体がROHHAD症候群の診断マーカーとして有用である可能性が示唆されました。
成果
  • 腫瘍の有無にかかわらず、抗ZSCAN1抗体がROHHAD症候群の診断マーカーとして有用である可能性が示唆されました。
論文情報
Akari Nakamura-Utsunomiya , et al. Anti-ZSCAN1 Autoantibodies Are a Feasible Diagnostic Marker for ROHHAD Syndrome Not Associated with a Tumor
Int J Mol Sci. 2024 Feb 1;25(3):1794. doi: 10.3390/ijms25031794.
事例2網羅型タンパク質アレイによって検出される自己抗体の総和は、疾患状態を反映する
研究手法
HuPEX®網羅型タンパク質アレイによる自己抗体プロファイリング
遺伝子12,946クローンから合成した抗原タンパク質が搭載されたHuPEX®網羅型タンパク質アレイを用いて、全身性強皮症(SSc)患者検体(N=32)、尋常性乾癬(PsO)患者検体(N=8)、皮膚動脈炎(CA)患者検体(N=16)、悪性黒色腫(N=40)、健常者(N=20)のプール血清から自己抗体を測定しました。
自己抗体の絞り込みと相関解析
SSc、PsO、CAにおいてプロテオーム全体にわたる自己抗体プロファイリングを実施した結果、合計565種類の自己抗体を検出しました。診断や疾患活動性マーカーとして報告のある自己抗体と、細胞膜や細胞外に発現するタンパク質に対する自己抗体、合計178種類に絞り込み、臨床所見と詳細な解析を行いました。
各疾患の臨床的特徴と自己抗体レベルの関連
炎症マーカーであるC反応性タンパク質(CRP)と正の相関を持つ自己抗体の総和(SAL-P-CRP)を求めて、各疾患との臨床的特徴を解析しました。SSc患者において、SAL-P-CRPは、間質性肺疾患(ILD)の指標や皮膚硬化スコア(mRSS)と有意に相関し、ILD予測において既存マーカーよりも優れていることが示されました。PsO患者では、SAL-P-CRPは乾癬性関節炎(PsA)を有する患者で有意に高く、皮膚症状(PASIスコア)とも関連しました。CA患者では、SAL-P-CRPは治療非反応性の患者で有意に高値を示しました。
悪性黒色腫における自己抗体の網羅的な測定の臨床的意義
MM患者血清から488種類の自己抗体を検出しました。転移のある進行型MM患者(StageⅢ, Ⅳ)では、転移のないMM患者(StageⅠ, Ⅱ)よりも自己抗体の産生が顕著であることが判明しました。以上の結果は、MM患者における網羅的な自己抗体同定によって、転移や進行が予測できる可能性を示しています。
成果
  • 間質性肺疾患を予測する自己抗体としては、抗トポイソメラーゼI抗体がこれまで最も有用 (70%以上で、間質性肺疾患を予測)でした。
  • CRPと有意な正の相関を示した自己抗体の力価の総和 (SAL-P-CRP) は、抗トポイソメラーゼI抗体より有用な強皮症の重症度を反映する新たなバイオマーカーとなる可能性が示されました。
  • プロテオーム全体にわたる自己抗体の網羅的なスクリーニングにより、疾患特異的な免疫学的特徴を明らかにし、新しい診断ツールの開発への道を開く可能性があります。
論文情報
Kazuki M Matsuda, et al. Autoantibody Landscape Revealed by Wet Protein Array: Sum of Autoantibody Levels Reflects Disease Status
Front Immunol. 2022 May 4:13:893086. doi: 10.3389/fimmu.2022.893086.
事例3全身性自己免疫疾患における自己抗体の包括的なプロファイリング
研究手法
タンパク質の合成
全身性自己免疫疾患のなかで全身性強皮症(SSc)および多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)に関連する43種類の自己抗体を検出するため、65抗原タンパク質を選出しました。
カスタム型アレイの作製
選出された65種類の抗原タンパク質を搭載した、カスタム型タンパク質アレイを作製。 使用した血清は、日本人の全身性強皮症(SSc)患者357名、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)患者172名、日本人の健常者93名。
自己抗体検出と解析
SSc患者、PM/DM患者、健常者の血清をカスタム型アレイで解析した結果、SSc患者では抗CENP-B抗体(32.2%)、抗トポイソメラーゼI抗体(26.9%)、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体(11.2%)が上位で検出されました。PM/DM患者では抗TIF1-γ抗体(24.4%)、抗TIF1-α抗体(18.0%)、抗PL-7抗体(6.4%)が上位に検出されました。また、両疾患に関連する抗SS-A/Ro52抗体はSSc患者の25.2%、PM/DM患者の36.0%で検出されました。一方、健常者ではほとんどの自己抗体が検出されませんでした。
補助検証
市販ELISAキットを用いて、抗トポイソメラーゼI抗体、抗CENP-B抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体などの自己抗体レベルを測定し、抗AMA-M2抗体を市販FEIAキットで測定しました。免疫沈降法で抗体を検出し、間接蛍光抗体法による細胞染色で自己抗体の蛍光パターンを観察しました。Spearman相関検定を使用した相関解析を実施しました。
成果
  • カスタム型アレイでは、一度の検査で43種類の自己抗体を検出可能でした。この研究は、カスタム型アレイの有用性を示すとともに、包括的な自己抗体プロファイリングにより、診断精度の向上、早期診断、個別化治療、予後予測が可能になり、患者に合わせた最適な医療を提供する基盤が構築されました。また、疾患理解の深化と新規治療法開発にも寄与する重要なデータが得られました。
論文情報
Ai Kuzumi, et al. Comprehensive autoantibody profiling in systemic autoimmunity by a highly-sensitive multiplex protein array
Front Immunol. 2023 Aug 28:14:1255540. doi: 10.3389/fimmu.2023.1255540. 
事例4ウェットなヒト網羅型タンパク質アレイを用いた生殖細胞特異的に結合するTRA98マウスモノクローナル抗体の抗原同定とその特性解析
研究手法
タンパク質アレイの開発
ヒトcDNAを鋳型として合成した19,446個のタンパク質を搭載したウェットな網羅型タンパク質アレイ(CWPA)を開発しました。CWPAは世界最大規模のタンパク質搭載数と、作製からアッセイまで一貫して乾燥を防ぐ特徴をもちます。またタンパク質搭載量の高い均一性(最も搭載量が多いタンパク質と少ないタンパク質の差が平均47.3倍以内に収まっている)も実現しました。
網羅型タンパク質アレイを使用したmAb TRA98抗原の同定
マウスモノクローナル抗体 TRA98 (mAb TRA98)は生殖細胞核を特異的に認識する特徴をもち、生殖細胞研究で多く用いられてきましたがその抗原は20年以上不明でした。今回CWPAを用いmAb TRA98が認識するヒト抗原の同定を行ったところ、mAb TRA98はnuclear factor-κB activating protein (NKAP)タンパク質に特異的な結合を示しました。
Nkap遺伝子の機能欠損マウスによる表現型観察
生殖細胞におけるNKAPタンパク質の役割を探るため、精巣のNkap遺伝子をノックアウトしたマウス(Cre/loxP系条件欠損マウス)を作成しました。その結果、野生型マウスとは異なり、精巣は未成熟で生殖細胞が欠失しているセルトリ細胞遺残症候群の病態を呈しました。
NKAPは精巣でSUMO化される
FLAGタグ融合NKAPを導入したトランスジェニックマウスの精巣では、抗FLAG抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、分子量98 kDaのタンパク質として検出されました。FLAGタグ融合NKAPタンパク質の分子量は47 kDaであることから、精巣ではタンパク質が修飾されていることが予想されました。このタンパク質修飾はSUMO化であることが示唆されました。
成果
  • タンパク質搭載量の均一性が高いCWPAを用いることで、TRA98がヒトにおいて認識する抗原はNKAPであることが明らかになりました。
  • 精巣のNKAPはSUMO化されており、分子量は98 kDaでした。
  • NKAPは精巣の成熟のため重要な働きをもつことが明らかになりました。
論文情報
Eriko Fukuda, et al. Identification and characterization of the antigen recognized by the germ cell mAb TRA98 using a human comprehensive wet protein array
Genes Cells. 2021 Mar;26(3):180-189. doi: 10.1111/gtc.12832.
事例5特発性間質性肺炎(IIP) における新規自己抗体マーカー(抗IFI16抗体)の発見と多施設コホート研究における臨床的特徴
研究手法
特発性間質性肺炎(IIP)における自己抗体スクリーニング
特発性間質性肺炎と診断された患者295人を対象として、35S-メチオニン標識タンパク質免疫沈降法を使用して自己抗体スクリーニングを行いました。
その結果、IIP患者295人のうち6人の患者血清において、共通の4量体タンパク質を免疫沈降する結果を得ました。
この4量体の中の抗原を同定するためにHuPEX®網羅型タンパク質アレイを用いて解析したところ、インターフェロンガンマ誘導性タンパク質16(IFI16タンパク質)が同定されました。
インターフェロンγ誘導性タンパク質16 (IFI16)のタンパク質合成と抗原-抗体反応の確認
4量体タンパク質に対する自己抗体がIFI16タンパク質を特異的に認識することを確認するために、IFI16のCDS(coding sequence)を導入したプラスミドを用いたin vitro transcription-translation (IVTT)によりIFI16蛋白を合成し、免疫沈降法を行った結果、4量体タンパク質に反応した6例の患者血清すべてにおいてIFI16の沈降が確認され、IFI16が目的の対応抗原であることが確認されました。
抗IFI16抗体に関連する臨床的特徴
IIP患者の中でこの抗IFI16抗体が検出される患者は免疫抑制療法を受ける機会が少なく、予後が悪い可能性があります。患者の層別化と管理を改善するために、さらなる研究が必要です。
成果
  • IIPにおける新規自己抗体マーカー、抗IFI16抗体を発見しました。この自己抗体の抗原同定にはHuPEX®網羅型タンパク質アレイが使用されました。
  • 抗IFI16抗体の臨床的意義を明らかにする研究は、治療反応性の予測、個別化治療の可能性、疾患の免疫学的背景の理解を深めることにつながり、より適切な治療法の開発に寄与する可能性があります。
論文情報
Tsuneo Sasai, Ran Nakashima, et al. Anti-interferon gamma-inducible protein 16 antibodies: Identification of anovel autoantigen in idiopathic interstitial pneumonia and its clinicalcharacteristics based on a multicenter cohort study
Clin Immunol. 2024 Nov:268:110372. doi: 10.1016/j.clim.2024.110372.
事例6抗RNAポリメラーゼⅢ抗体のエピトープスプレッシング(ES)と全身性強皮症の臨床症状との関連
研究手法
タンパク質発現
全身性強皮症(SSc)の患者血清中の自己抗体解析を目的として、RNAポリメラーゼⅢ(RNAPⅢ)複合体のサブユニットおよびRNAPⅢ主要抗原RPC1の部分タンパク質を合成しました。17種類のRNAPⅢ複合体サブユニットの全長タンパク質と、5種類のRPC1の部分タンパク質を、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を使用してFLAG-GST融合タンパク質として合成しました。
抗原結合プレートの作製
合成したタンパク質を使用して、プロテオブリッジ社独自の技術である抗原結合プレートを作製しました。抗原結合プレート(96ウェルプレート)は、各ウェルがグルタチオン(GSH)でコーティングされており、FLAG-GST融合タンパク質を結合させることができます。
自己抗体の検出・定量
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体(ARA)陽性SSc患者34名を含むSSc患者75名の血清サンプルを用いて、RNAPⅢ複合体のサブユニット17種類と主要抗原RPC1の部分タンパク質5種類に対する自己抗体の測定を行いました。
その結果、ARA陽性のSSc患者において、RNAPⅢ複合体の様々なサブユニットに対する自己抗体が検出され、患者ごとに異なるパターンを示しました。
そこで、RNAPⅢ複合体のサブユニットに対する分子間のエピトープの広がりと、主要エピトープRPC1に対する分子内のエピトープの広がりを定量化し、比較検証を行いました。
統計解析・臨床像との相関
定量化したRNAPⅢ複合体のサブユニットと主要エピトープRPC1に対するエピトープの広がりと臨床所見との関連を解析しました。興味深いことに、サブユニットへのエピトープの広がりが大きいほど、皮膚硬化(mRSS)とSP-D(間質性肺炎マーカー)に対してSpearmanの相関係数において有意な相関を認めました。
また、主要エピトープRPC1へのエピトープの広がりが大きいほど、腎クリーゼの発症リスクが高いことがわかりました。
同一患者において経時的にエピトープの広がりを評価すると、皮膚硬化の程度と連動していることがわかり、SScにおける疾患活動性のマーカーとして有用であることが示唆されました。
成果
  • RNAPⅢ複合体のサブユニットをターゲットにした抗体がSSc患者における疾患の重症度や臓器障害(皮膚や肺)と相関していることを示し、これらの抗体が早期診断や予後評価のための有力なバイオマーカーとなる可能性を示唆しています。
    ※エピトープスプレッディング(ES)とは、自己免疫疾患において、最初に特定の抗原に対する自己抗体が形成された後、異なる抗原に対しても自己抗体が次第に形成される現象を指します。
論文情報
Hirohito Kotani et al. Diversity and Epitope Spreading of Anti-RNA Polymerase III Antibodies in Systemic Sclerosis: A Potential Biomarker for Skin and Lung Involvement
Arthritis & Rheumatology, 2024. doi: 10.1002/art.42975

よくあるご質問

お客様からのよくあるご質問をまとめました。もし解決しない場合は、当社のお問い合わせ・お見積りフォームより、お気軽にお問い合わせください。

サービス全般について
依頼の流れについて教えてください。

受託解析のご依頼は、以下の流れとなります。まずはお見積りフォームより、ご連絡ください。

  1. 見積依頼
  2. 検査依頼書作成(同意事項の確認)
  3. 検査依頼書、サンプル、同意書(任意)を送付。
  4. 解析
  5. 結果報告
  6. 検査料金のお支払い
検査費用はどれくらいですか。

お見積りフォームからお問い合わせください。

検査依頼書・同意書(任意)はどのように送付すればよろしいでしょうか?

検体に同封して送付くださいますようお願いいたします。

検体の送付先について教えてください。

以下の住所にご送付ください。 検体は、平日16時までに到着するように指定をお願いいたします(夏季・冬季休業を除く)。また、送付時に到着予定日をご連絡いただけますと幸いです。

【 検体送付先】
〒763-0042
香川県丸亀市港町307
株式会社伏見製薬所 衛生検査センター
TEL:0877-22-6276
E-mail:
解析結果の内容について教えてください。

解析結果報告書のイメージと解析結果【数値データ】のイメージをご覧ください。 または、当社衛生検査センター()までお問い合わせください。

キャンセルや返金は可能ですか。

当社衛生検査センターにご連絡ください。本サービスの解析作業(準備作業を含みます。)の開始後は、お客様は、本サービスを解約することはできません。お客様においてやむを得ない事由がある場合で、当社及びプロテオブリッジ社が解約を承諾したときでも、当該承諾時までに実施した工程に応じた本サービスの解析費用をご負担いただきます。

【キャンセルのご連絡先】
株式会社伏見製薬所 衛生検査センター
TEL:0877-22-6276
E-mail:
支払いについて教えてください。

請求書を納品の翌月10日までに送付いたしますので、お支払いをお願いいたします。

検体について
検体量が300µLよりも少ない場合、検査することは可能ですか。

300µLよりも検体量が少ない場合は、お見積もり時にお問い合わせください。

採血から時間が経った検体でも検査可能ですか。

検査可能です。 ただし時間が経過した検体では、遠心処理で沈殿物が発生する傾向がございます。検体アッセイの前処理(遠心処理)によって、血清・血漿から200µL以上の上清が得られなかった際にはご相談させていただきます。

検体の残余分は返却いただけますか。

ご依頼の際に検査依頼書にてご連絡いただけましたら返却可能です。

検体の保管期間について教えてください。

お送りいただきましたサンプルは、ご依頼時にお客様からの返却希望のお申し出がない場合、原則、解析終了後に破棄させていただきます。

検体送付時の注意点はありますか。

以下の場合、解析をお受けできない場合がございます。詳しくは、検査説明書の免責事項をご確認ください。

  • 検体が最低容量(300µL)に満たない場合
  • 輸送時のトラブルで、検体の温度管理に不備があると判断される場合
  • 検体にBSL3以上の病原性に関する感染リスクがあると判断される場合
  • 適切なインフォームドコンセントが取得されていないことが疑われる場合
  • その他検体の量又は質に関する状態により当社が検査は実施できないと判断した場合
解析について
検査結果が報告されるまで、どれくらい日数がかかりますか。

検体到着後、原則2か月で報告いたします。ただし、繁忙期は納期が遅くなることがありますので、ご了承ください。

納品物について教えてください。

解析結果について、結果レポート(pdf)と各搭載遺伝子タンパク質に対する定量データ(Excel)をDropboxでのデータ転送あるいは、CD-Rにて納品させていただきます。納品物には、以下のファイルが収録されています。

  • 「作業完了報告書(結果報告書)」ファイル(PDF形式):解析の要約、実験概要、データ解析、結果等を記載したレポートです。
  • 「定量データ」ファイル(Excel形式):アッセイ後の蛍光画像から得られた各搭載遺伝子タンパク質に対するシグナルの定量データを収録しています。
検査結果の見方を教えてください。

個別に対応させていただきます。 当社衛生検査センター()もしくは報告書に記載の連絡先までお問い合わせください。

結果の解釈について、相談は可能でしょうか。

大変申し訳ございませんが結果の解釈については、当社ではお受けできかねます。 解析結果の解釈につきましては、お客様ご自身で行っていただきたく存じます。

解析が出来ない場合はありますか。

以下の場合、解析結果が得られない場合がございます。 詳しくは、検査説明書の免責事項をご確認ください。

  • 検体中にコムギ蛋白質に対する抗体が含まれている場合
  • 検体中にFLAG+GST(Glutathione S-Transferase)タグに対する抗体が含まれている場合
  • その他検体由来の要因によって、バックグラウンドの値が異常であると判断された場合
技術的な質問
HuPEX®網羅型タンパク質アレイの特徴は何ですか。

アレイに搭載されている抗原タンパク質は、タンパク質合成からアッセイまで非乾燥を保持しており、生体内に近い状態で免疫反応や薬の反応性を測定することができます。詳しくは「タンパク質アレイの特徴 ~他のタンパク質アレイとの違い~」をご覧ください。

アレイに搭載されているタンパク質を教えてください。

搭載タンパク質の遺伝子名・機能」からリストがご覧いただけます。

搭載されていないタンパク質を、新たに搭載することは可能でしょうか。

個別に対応可能かを判断させていただきます。当社衛生検査センター()にお問い合わせください。

論文情報

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